近年、公務員にも少しずつ副業が解禁され、本業以外に収入を得ている公務員が増えてきています。
一方で、公務員が副業することは法律的に禁止されています。しかし、公務員の方でも不動産投資であれば、条件付きでとりくむことが可能。不動産投資に向いているといわれる会社員よりも、有利な立場で投資活動ができると考えられます。
しかし「投資」である以上、ポイントを間違えてしまうと大きな損失を被る可能性があります。そこでこの記事では、副業が禁止されている公務員でも安心して不動産投資を行うための条件や注意点、気を付けるべき7つのポイント、不動産投資で失敗してしまう初心者のよくある特徴をご紹介します。
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公務員+不動産投資=最強の理由
不動産投資は、基本的に不動産投資ローンを利用しておこないます。高額な借り入れですが、公務員の方はいろいろな面で有利になります。それぞれ詳しく見ていきましょう。
不動産投資ローンの審査が通りやすい
不動産投資をおすすめする理由の1つ目は、公務員の方は不動産投資ローンの審査に通りやすい点です。
公務員の方は民間企業と比べて、収入が安定しています。これは給与が規定に基づいて決められており、景気の影響を受けにくいからです。また、国家公務員法や地方公務員法によって、身分が保証されており、解雇される心配がありません。
不動産投資ローンの審査では、借り手の返済能力を見るため、収入が安定している公務員の方は有利になるでしょう。
本業を妨げずに不労所得が得られる
本業を妨げることなく不労所得を得られる点も、公務員の方に不動産投資が推奨される理由の一つです。
先述したように、公務員の方は職務に専念しなければならないため、本来であれば不動産投資はできません。しかし、管理業務を委託し、本業に専念できる環境を整えれば不動産投資をおこなうことが可能です。
本業をしながら、これらの管理業務を自分で担うのは難しいでしょう。しかし、信頼できる不動産管理会社に委託することで、本業に専念しつつ不労所得を得ることが可能です。
相続税対策になる
公務員の方に限った話ではありませんが、不動産投資は相続税対策になります。これは、不動産の相続税評価額が現金と比べて低く評価されるためです。
例えば、現金5,000万円の場合、相続税評価額はそのまま5,000万円となります。しかし、不動産の相続税評価額は、土地は市場価格の80%程度、建物は市場価格の70%程度とされています。土地3,000万円、建物2,000万円を購入した場合の相続税評価額を見てみましょう。
<土地の相続税評価額>
3,000万円×80%=2,400万円
<建物の相続税評価額>
2,000万円×70%=1,400万円
<土地と建物の相続税評価額の合計>
2,400万円+1,400万円=3,800万円
この例では、相続税評価額を1,200万円下げられました。また、賃貸用不動産には特例があり、一定の要件を満たせば、土地の相続税価額を減額できます。具体的には、土地が200平方メートルまでの面積の課税価格を50%減額できるというものです。
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不動産投資が副業にならないための3つの条件
法律で副業が禁止されている公務員が不動産投資をするための条件は、次の3つ。このすべてを満たしていなければなりません。
不動産投資の規模が5棟10室以下
公務員の方が不動産投資を行う際に知ってほしい知識として、”人事院規則14-8(営利企業の役員等との兼業)の運用について”があります。
イ 独立家屋の賃貸については、独立家屋の数が5棟以上であること。
ロ 独立家屋以外の建物の賃貸については、貸与することができる独立的に区画された一の部分の数が10室以上であること。
ハ 土地の賃貸については、賃貸契約の件数が10件以上であること。
出典:人事院規則
この基準を超えると、公務員でも認められていた不動産投資が副業扱いになり、国家公務員法に抵触する可能性があるので注意が必要です。
つまり見出しにありますように、”不動産投資の規模を5棟10室以下”に抑えておく必要があります。
家賃収入が年500万円未満
公務員の不動産投資では年500万円を超える家賃収入を得ると副業扱いになります。
ここでポイントなのは手元に残るCF(キャッシュフロー)収益が500万円ではありません。家賃収入で計算されます。
一億の借入を起こし、月8.5万円のワンルームマンションを5戸所有すれば、副業とみなされてしまいます。(8.5万×12か月×5戸=510万円)
例えキャッシュフローが赤字だったとしても、500万円を超えれば副業扱いとなりますので注意しましょう。
家賃収入500万円未満なら報告は不要?
家賃収入が500万円未満の公務員であれば、報告を一切しなければよいのかというとそんなことはありません。
人事院規則14-8によると、毎年1月末に“自営兼業承認申請書”で報告する義務があります。
この項の規定による報告は、毎年1月末日までに、前年に与えた承認について、次に掲げる事項を記載して行うものとする。
フォーマットの書式は自由ですが、人事院で用意しているこちらの書式を使えば間違いありませんので、ありがたく利用しましょう。
家賃収入を報告する内容として、
・ 賃貸する不動産の種類と規模
・ 家賃収入の予定年額
・ 不動産管理方法
が挙げられますが、管理委託契約書とレントロールの写しを同封すれば問題ないでしょう。
また家賃収入が500万円を超えた場合でも、”親の資産を相続した”等の理由があれば、副業としてみなされないケースもあるようです。
管理業務は委託する
公務員が副業を禁止されている理由として、職務専念の義務(国公法第101条)の精神的・肉体的な疲労により、本業に支障を出さないためです。
不動産投資をはじめ、株・太陽光投資で許可が出ているのは、自分の労力を使わないことが前提にあります。
管理費を削減したいからと言ってすべて自分で物件を管理するのは、アルバイトなどの労働と変わりません。
必ず管理会社に委託するようにしましょう。
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公務員が不動産投資をする際の注意点
公務員の方が不動産投資をする際には、気をつけなければならない点があります。それぞれ詳しく見ていきましょう。
就業規則に違反しないようにする
公務員の方が不動産投資をおこなう際には、就業規則に違反しないようにすることが大前提です。これまで解説してきたように、公務員の方は職務に専念する義務があります。不動産投資によって、本業が疎かにならないようにしなければなりません。また、一定規模を超えておこなう場合には、所属する機関の首長などに許可を取る必要があります。
先述したように規則を守らなかったために処分を受けた例もあります。さらに、地方公共団体によっては、独自の基準を設けられている場合もあるため、必ず確認しましょう。
無理のない返済ができる範囲でおこなう
公務員の方に限りませんが、不動産投資は無理のない返済ができる範囲でおこないましょう。特に公務員の方の場合、収入が安定していることから、借入可能額が多くなる傾向があります。たとえ低金利であっても、借入額が多くなれば、月々の返済負担も重くなるでしょう。大切なのは、不動産投資ローンを借り入れることではなく、安定した家賃収入を得ながら、ローンを完済することです。そのためにも、無理なく返済ができる範囲でおこないましょう。投資をおこなう前に、想定される家賃収入や完済時の年齢など、事前にシミュレーションをすることが大切です。
確定申告を忘れずにおこなう
不動産投資をおこない、年間20万円を超える所得を得た場合には、必ず確定申告をしましょう。通常、公務員の方は源泉徴収がおこなわれているため、確定申告をする必要はありません。しかし、給与以外の所得が20万円を超えた時には、確定申告が必要です。なお、この所得は家賃収入から固定資産税や減価償却費などの経費を差し引いた金額となります。
確定申告の時期は、毎年2月16日〜3月15日で、申告だけでなく納税も同時期となっています。申告に必要な書類は多いため、余裕を持って準備するようにしましょう。
信頼できる不動産管理会社を選ぶ
公務員の方が不動産投資をおこなう際は、本業に影響が出ないよう、管理業務を不動産管理会社に委託しなければなりません。先述したように、管理業務は3つに分かれており、安定した家賃収入を得るためにはどれも欠かせません。また、所属している部署によっては、多忙になる時期もあるでしょう。他にも災害が発生した場合、突発的に忙しくなる可能性もあります。そういった時にも、信頼できる不動産管理会社に委託していれば、本業に専念できるでしょう。
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不動産投資の仕組み、メリット・デメリット
不動産投資はマンションやアパートなどの物件を購入し、賃貸経営によって賃料収入を得る投資方法です。不動産は高額なため、主には購入する不動産を担保に設定する不動産投資ローンを利用し、不動産運営によって得た賃料収入で徐々に返済していく仕組みとなっています。
不動産投資のメリット
・ 不動産投資ローンによるレバレッジ効果がある
・ ミドルリスク・ミドルリターンの投資手法
・ 低金利のためイールドギャップ(利回りと金利の差)を取りやすい
・ 不動産は現物資産なのでインフレリスクにも強い
他の投資方法にはない不動産投資のメリットには、自己資金の少ない個人でも大きな資金を運用しやすいという点が挙げられます。不動産投資ローンを活用することで、サラリーマンの方でも数千万円~1億円規模の資産運用が可能になります。
FXや株式の信用取引でも自己資金以上の資産運用を行うことは可能ですが、値動きが激しく、証拠金以下になったタイミングでロスカット(強制的に決済)されてしまうデメリットがあります。一方、不動産投資でも不動産価値がローンの借入額以下になることはありますが、月々のローンの返済が行われている限り、不動産を差し押さえられるということはありません。
また、2024年9月時点の日本の政策金利は非常に低い水準に設定されており、低金利であることから、イールドギャップ(収益不動産の利回りと市場金利の差)を生み出しやすい状況です。低金利の環境であることから、利回りが低い物件でもキャッシュフローをプラスに推移させやすくなり、物件を取得するハードルが低くなっていることもメリットと言えるでしょう。
低金利の状態が続くと市場に流通する現金の総量が増え、物価が上昇するインフレの傾向になります。不動産は現物資産であるためインフレにも強く、激しいインフレが起きた際でもローンの返済元本は変動しないため間接的に資産を守れるメリットもあります。
不動産投資は、資産運用を経て得た賃料収入によって徐々にローンの返済を行い、不動産を純資産に変えていくことができるため、長期投資に適した投資方法と言えます。
不動産投資のデメリット
・ 不動産投資ローンのレバレッジ効果に注意
・ 不動産投資には空室リスクがある
・ 短期間で大きな収益を得るのは難しい
・ 住宅ローンなどを組みづらくなるケースもある
不動産投資はローンを活用できるということがメリットでもある反面、運用額が大きくなることで損失リスクが大きくなりやすいというデメリットがあります。
例えば、空室が起きた際にもローンの返済を行わなければならないため、運用額が大きいほど空室時の損失も大きくなるという相関関係にあります。
また、不動産投資の家賃収入による年間利回りは、一部の地方物件や築古物件などを除き、物件価格に対しておおよそ3~7%程度が目安となります。中程度のリスクを取るのであれば、短期間で大きな収益を得られる投資方法ではないという点もデメリットと言えるでしょう。
その他、不動産投資ローンの審査では借りる人の年収や属性などによって、それぞれ与信枠(融資利用可能額)が定められています。多額の不動産投資ローンを組んでしまうと、住宅ローンなどその他の融資を利用しづらくなったり、2つ目以降の物件購入に難航してしまう可能性もあります。
このような不動産投資のデメリットにも注意しながら、どのようにリスクを回避していくか、また不動産投資を介してどのような目的を達成していきたいのか、慎重に検討していくことが大切なポイントになってきます。
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不動産投資の初心者が気を付けるべき7つのポイント
これから不動産投資を始める初心者は、取得までに不動産投資の知識取得、物件情報の獲得、不動産業者の選定、金融機関への融資相談、といくつかのハードルを乗り越えることになります。
この時、不動産の取得に焦ってしまい失敗したということにならないよう、ここでは初心者がまず気を付けるべき不動産投資の7つのポイントを挙げています。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
投資用不動産を取得する順番を考える
大きな資金が必要な不動産投資では銀行など金融機関からの融資が不可欠です。そのため今後も不動産を増やしていきたいと考えている場合には、取得する不動産の種類や借り入れをする金融機関を選定していかなければなりません。
購入した物件を持ち続けるか、いずれ売却するのか
購入物件を持ち続けて「相続する」のか、どこかのタイミングで「売却をする」のか、目的と出口をあらかじめ考えておくべきでしょう。もしも売却を考えている場合には、最低でも物件の「法定耐用年数」と「周辺地域の路線価の推移」は調べておくことが大切です。
- 法定耐用年数:資産がどのくらいの年数使用することができるか、減価償却費の算定基準として財務省令で定められた年数
- 路線価:道路に面する標準的な宅地の1㎡あたりの価額のこと。相続税や贈与税を評価する場合に適用する
これらは、それぞれ政府が定めた「建物」と「土地」の評価基準です。これらの評価が高いと金融機関の融資額も高くなり、売却がスムーズに行える可能性が高まる傾向にあります。
居住用不動産の法定耐用年数
- 軽量鉄骨造(厚さ3mm以下):19年
- 軽量鉄骨造(厚さ3mm~4mm):27年
- 重量鉄骨造(厚さ4mm超):34年
- 鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造:47年
- 木造:22年
金融機関によっては、法定耐用年数内でしか融資年数を設定しないことがあります。例えば、木造アパートを20年所有して売却しようと考えた場合、残耐用年数は2年となり、次の購入者の資金調達のハードルが新築時よりも非常に高くなる、ということになります。出口戦略として売却を考える場合には、次の購入者のメリットまで考慮してスケジュールを組んでおくこともポイントとなってくるでしょう。
信用できる不動産投資会社を選ぶ
信用できる不動産投資会社を選ぶには、1社だけでなく2~3社以上の複数社と同時にやり取りすることが大切です。もしも1社だけとやり取りをしていると、担当者が本当のことを言っているかどうかが初心者には判断が難しく、会社の営業利益を優先する担当者に当たった際に気づけない恐れがあります。
複数社とやり取りをしていれば、不安な点があれば他社の担当者に相談するなどで、営業マンの話す内容を多角的にとらえることが出来ます。複数の担当者とやり取りをしながら、常に「この担当者が言っていることは本当か?」ということを判断しておくと良いでしょう。
不正融資の誘いには乗らない
不動産投資は金融機関の融資を受けて運用し、その運用益によってローンの返済を行いながら徐々に自身の純資産に変えていくことができる投資方法です。しかし、このような融資の仕組みを利用した「不正融資」の問題がしばしばニュースに取り挙げられることがあります。
例えば、過去には自宅の購入に利用するローン「フラット35」を用いた不正な投資用不動産の購入が問題になったことがあります。住宅ローンは居住用の不動産の購入のみに利用できるもののため、投資用不動産を購入したり、購入した自宅を賃貸に出したりすることは禁じられています。
購入したい物件があるにもかかわらず、自身の与信が足りずに融資が得られない場合には「現金資産を貯める」「与信の得やすい業種に転職する」「評価の高い物件を探す」などの対策をとるようにしましょう。
家族の同意は早めにとっておく
不動産投資は金額が大きい取引になるため、購入間近になって家族に反対され頓挫するケースがあります。たしかにご家族の立場からすると、いきなり購入段階になって「物件を買うために何千~何億円の借入をする」と話をされると不安になってしまうでしょう。
このような事態を避けるため、何のために不動産投資を始めるのか、子供のため、老後や将来の資産形成のためなど、目的を共有しておくと良いでしょう。あらかじめ不動産投資に興味を持ってもらうことや、不動産投資の仕組みや意義、見に行った物件の写真などの情報を共有し、協力体制を作っておくことが大切です。
物件の印象ではなく、「数字」で判断する
きれいな印象の良い新築物件を見てしまうと「こんなにいい家だから入居者も安定して入るだろう」と考えがちですが、見た目だけで安易に判断してしまうのは危険です。
物件のもつ印象は大切ですが、より優先すべきは周辺地域との家賃バランス、スーパーや駅などの周辺環境、過去の人口推移などの実際のデータです。投資目的の不動産に実際に居住するのはあくまでも入居者の方になるため、オーナーの好みや印象で選んでしまわないように気を付けましょう。
収益の一部は「貯蓄」か「再投資」に充てる
不動産投資は家賃収入と経費(管理費用や諸税金など)、借入金の返済などの差額によるキャッシュフローを軸とした投資方法です。キャッシュフローで得た収益は出来るだけ普段の生活等の消費には使わず、部分的に「貯蓄するor再投資する」ことが大切です。
不動産は自然災害や入居者のトラブルなどによって、資産価値が大きく損なわれるリスクがあり、このようなトラブルによる出費に際して「すぐに現金化できる資産がない!」という状況は危険度が高く、経営を継続することが出来なくなる可能性があります。
不動産投資のキャッシュフローで得た家賃収入を少しずつ貯蓄しておき、このような事態が起きても対応できるよう備えておきましょう。また、月々のキャッシュフローがマイナスになる物件の場合は、その他の給与収入などで金融資産の貯蓄も十分に行っていけるか、家計全体の収支を見直しておくことも大切です。
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不動産投資で失敗してしまう初心者の特徴
ここまで気を付けるべき7つのポイントについて解説してきましたが、不動産投資に失敗してしまう初心者はどのような特徴を持っているのでしょうか。
ここでは4つの失敗例を挙げます。
それぞれ詳しくみていきましょう。
不動産営業マンの言うままに物件を購入
不動産投資は、不動産を購入するのも金融機関から融資を引くのも投資家である自分自身です。しかし、不動産営業マンの言うままに物件を購入してしまい、納得感のない投資から失敗してしまうケースが数多くあります。
不動産の売買契約の当事者は、不動産の売買契約を交わす投資家自身です。初心者だからと言って任せっきりにせず、疑問に思う箇所や不安になったところは遠慮なく問い合わせるべきです。また分からない点はそのままにせず、しっかりと勉強して理解した上で意思決定を行えるようにしておく必要があります。
現金資産がなく、損切りすることが出来ない
どれほど厳格に投資物件を選んでも「入居率が下がってキャッシュフローがマイナス」「自然災害や害虫駆除でリフォーム費用が掛かる」などのトラブルから物件の売却をしなければならないケースは出てきます。
そんな時に現金資産の貯蓄が無く、残債を払えないために損切り(売却)が出来ないという状況に陥ってしまうと、身動きが取れないまま徐々に資産を減らしてしまうマイナス物件へと変貌してしまいかねません。
返済原資や何かあった場合の担保、余剰資産がない状態でキャッシュフローがマイナスの物件を所有していると金融機関からの信用が下がってしまう可能性もあり、新しい不動産を購入するにも苦労が生じてしまいます。そのため普段の家賃収入の一部を貯蓄するなど、日頃からリスクに備えることが大切です。
物件のメンテナンスをしない
不動産を取得出来たことで満足してしまい、その後の管理や手続きを管理会社に一任してしまう投資家は不動産投資に失敗してしまうことがあります。不動産投資は「不動産賃貸業」とも呼ばれる事業性の高い投資方法で、自分で直接事業のコントロールが出来ない株式投資やFXとは違い、投資家自らが事業に影響を与えることが出来ます。
例えば、入居率が下がった時の家賃設定、室内の設備投資、リフォーム費用の削減など、投資家自身が積極的に不動産賃貸に関わり、安定稼働へ導くことも可能です。不動産を取得したことはゴールではなく、不動産投資の始まりであると認識したほうが良いでしょう。
減価償却費のデメリットを知らなかった
不動産投資では、建物の経過年数に応じて減価償却費を計上することができます。減価償却費を経費として計上することで、給与所得と損益通算し、会計上の所得を圧縮することができるメリットがあります。
しかし一方で、不動産投資の減価償却には以下の注意点・デメリットがあります。
- 減価償却によって売却時の「譲渡税」が大きくなる
- 法定耐用年数が切れると計上できなくなる
このような減価償却のデメリットや注意点について知らずにシミュレーションを行っていると、将来的に収支が合わなくなる事例が見られています。減価償却費に重きをおいた収支シミュレーションを行ってしまっている場合には注意が必要です。
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不動産投資の始め方・物件を取得するまでの流れ
不動産投資で一番大きく取り上げられるのが「不動産を取得する」までのプロセスです。「不動産を取得する」にあたっては、下記が大まかな流れとなります。
不動産投資に関する情報収集(書籍・サイト・セミナーなど)
まずは、不動産投資に関する全体的な情報収集を行います。不動産の投資スタイルや、現在の不動産相場の把握、購入時期として適切かどうか、各ディベロッパーの特徴、定期的にチェックしたほうが良いサイトなどを調べていきましょう。
まったく何も調べずに物件選びから入ってしまうと、仲介業者やディベロッパーの言い分をすべて信じることになってしまいますので、物件を高値づかみしてしまったり、問題のある物件を見分けられずに購入してしまったり、年収や自己資金に対して大きすぎる融資額を受けてしまい返済に困難になったりと失敗するリスクが高くなってしまいます。
エリアの選定(都心か地方か、将来の開発計画など)
不動産投資では、物件(建物)よりもエリア(土地)のほうが重要と言われています。どんなに良い物件でも、人口が少ない小さな町やアクセスが非常に悪い場所にあれば、入居してくれる方自体が少なくなってしまい、空室が発生してしまいます。
物件を購入してからローン完済まで保有する場合、たとえば完済までに繰り上げ返済を行って15年程度、繰り上げ返済をしなければ最長で35年の時間がかかることになります。その間に物件のあるエリアがゴーストタウンになってしまったり、天災などで不人気のエリアになってしまったりしては、入居者がつかなくなってしまい肝心の家賃収入が得られなくなってしまいます。
そのようなリスクを避けるために、エリア選びはしっかりとした基準で行う必要があります。エリアの判断基準としては、将来数十年にわたってエリアの人口が維持もしくは増加しそうか、将来に再開発や公共事業などのプロジェクトが予定されているか、賃貸需要を近隣の大学に依存しているなどのリスクがないか、地震などが起こったとしても液状化や火災などの影響を受けにくいか、などといった点を考えていく必要があります。
物件選び(新築か中古か、マンションかアパートか、現地視察)
エリアが決まったら、次に物件を検討していくフェーズとなります。物件選びだけで本が一冊かけてしまうほどの領域ではありますが、ここではよく検討される点を絞って取り上げたいと思います。
まずは、新築か中古かという論点については、新築は税金面での優遇や住宅に問題があったときの保証を10年間受けられるなどのメリットはありますが、利回りや収益性という意味では中古のほうが高いと言えるでしょう。ただし、高収入の方で節税として不動産投資を考えている方にとっては、新築アパートや築古物件に投資をすることで減価償却上のメリットを得ることができます。
物件選びをしていると、不動産業者からの資料やウェブサイトの情報で分かったつもりになりがちですが、できるだけ現地視察しておくことをおすすめします。不動産投資では、どうしても貸す側の気持ちで物件を選んでしまうことが多いのですが、大切なのは借りる側の気持ちをイメージすることです。
駅までの距離は長いと感じないか、近くにコンビニや病院などがあるか、複数路線が使えるか、通勤の際に不便がないか、夜道が安全か、近隣がうるさくないか、マンション管理が行き届いているか、住みにくい間取りではないか、設備は十分かといった入居者の目線で実際に確認することで失敗するリスクを大幅にヘッジすることができます。
収支シミュレーションの検討(自己資金、利回り、キャッシュフロー)
希望するエリアで良い物件が見つかった、ということであれば、次は収支シミュレーションを作成します。大手の不動産投資会社(ディベロッパーなど)であれば物件紹介と一緒に物件購入後の収支シミュレーションを出してくれるかと思います。ただ、この収支シミュレーションを盲目的に信じてはいけません。なぜなら、収支シミュレーションに本来含めるべき前提条件が入っていないケースがあるためです。
たとえば、多いのは定額の家賃収入とローン返済、登記などの初期費用、売却時の金額だけでシミュレーションが作られているケースです。このケースでは、次のような費用を考慮して収支シミュレーションを組み直す必要があります。(下記は参考数値で物件や業者により上下します)
- 家賃の下落率(新築から10年で5%~10%程度の下落)
- 毎年の固定資産税など(築浅3000万円の物件でおよそ年8万円前後)
- 確定申告の外注費(年2万円~4万円)
- 退去時の原状回復費・修繕費(数年に1回:5万円~10万円)
- エアコンや水回りの修繕費(5年~10年に1回:5万円~10万円)
- 入居者を募集する際の広告費(家賃の1~3ヶ月分:賃料10万円の場合、広告費10万円)
- 空室期間、フリーレント期間(空室期間は3年に1回退去があった場合と想定、フリーレントは適用する場合、1回あたり1ヶ月間)
- 売却譲渡税(減価償却分が売却益として加算される)
- 売却時に仲介会社を利用する手数料(売却額3%+6万円)+消費税
たとえば、築浅、物件価格3000万円、賃料10万円、頭金100万円、ローン金利2.5%、家賃が10年間で5%下落、10年で入退去3回、10年後に購入金額と同額で売却できたとするケースを考えてみます。大まかな計算ではありますが、上記項目の費用を考慮した場合とそうでない場合で、以下のように合計300万円以上も費用が異なってくると考えられます。
- 下落家賃総額:約30万円(2年で1%ずつ下落と仮定)
- 固定資産税:60万円前後
- 確定申告の外注費:4万円×10年=40万円
- 原状回復費:5万円×3回=15万円
- エアコンなどの修繕費:10万円
- 売却譲渡税:100万円~120万円程度
- 仲介手数料:売却額3000万円×3%+6万円=96万円
不動産会社からのシミュレーションを鵜呑みにせず、Excelなどを使って自分でシミュレーションを作成してみることで、その物件が投資に値するか事前に判断することができますので、ぜひ一度試してみて下さい。
不動産投資ローンの事前審査(融資額、融資期間、金利交渉)
物件の購入意思がかたまってきたら、不動産投資ローンの審査を受けて融資が下りるかの確認となります。大手ディベロッパーの場合は、提携金融会社が10社から20社ほどありますので、そのなかから金利や融資期間などの条件が良いところに申し込んでいく流れとなります。
2024年9月時点の相場としては、金利は新築マンションで1.5%~2.0%前半、融資期間は35年程度を想定しておけばよいかと思います。上場企業の勤務者や勤務年数が長い方、頭金を2割から3割入れることができる人などは返済能力が高いと評価され、もう少し良い条件で借り入れをおこすことができる可能性があります。
逆に、不動産投資ローン以外に多額の借り入れ(クルマのローン、カードローンなど)やクレジットカードの不払い履歴、自営業など毎月の収入が不安定な職業の場合には、高い金利となったり、融資期間が短くなったりするなど融資条件が厳しくなる恐れもありますので、まずは一度確認してみると良いでしょう。
売り手との交渉(物件価格、支払い条件、引渡し時期、物件申込み)
ある程度の収支の見通しが立ったら、売り手と物件に関する条件を交渉していきましょう。初期に提示される価格や条件は売り手の希望を反映したものとなりますので、売り手が納得しさえすれば条件を変更してもらうことが可能です。この交渉で大事なことは、買いたい姿勢を見せすぎないことと、着地点を想像しておくことです。
たとえば物件価格を3%値引きしてもらいたい場合、「少し割高に感じているので、5%値引きをしてもらえれば即決したいと思います」などと伝えておくことで、相手からは「5%の値引きは難しいが、3%までなら値引きできる」という形で回答が返ってくることが予想されます。
なお、5%以上の値引きでもOKという返事が返ってくることもあるかもしれませんが、値引きで提示された価格が自分のほうで適切と考えていた物件価格とのギャップが大きかった場合には、物件に何か問題がないか(自分が見落としていることがないか)を改めて確認することが大切です。
値引き交渉はやって損がないものですので、「値引きを要求するのはなんだか恥ずかしい」「相手に悪いのでは?」などと思わずに、希望金額をどんどん伝えるようにしてみましょう。うまくいけば、1年間の家賃収入分の金額を浮かせることができる可能性があります。
契約手続き(ローン特約、契約解除、違約金など)
条件面で折り合いがついたら売買契約となります。契約書には、不動産投資ローンの融資が下りなかった時に備えて「ローン特約」というものを盛り込んでおくのが一般的です。ローン特約がないとローンの審査がNGだった際にも購入をしなければならなくなり、買い手に非常に不利な契約内容となってしまいます。
また、契約履行までの間に何らかの事情で解約をする場合、解約手付金(売買金額の5%~10%程度)を支払うことで契約解除をすることができる「手付解除」という条項もあります。ただ、手付解除は大きな損失となってしまうため、解除は出来る限りしなくてすむように事前に準備をしておいたほうが良いでしょう。
初心者であっても、売買契約前に、売買契約書や重要事項説明書に関して、事前に不動産会社に依頼をして原案を取り寄せ、読み込んでおく、そして、高額取引となるため、事前に分からない箇所は確認をしておき、納得したうえで契約をすることを心掛けておきましょう。
決済・引渡し・登記手続き(不動産登記変更)
最後は、買主と売主の間で資金決済を行い、物件の引渡しと登記手続きの流れとなります。決済は、金融機関に集まり、手付金以外の残代金を買主が振込み、売主が着金を確認するという流れが多いです。
引渡しの際には、契約記載の設備の状況などをしっかりと確認し、問題がなければ鍵の引渡しとなります。遠方だと物件を見ずに契約ということもありますが、契約の前にしっかりと物件や設備などの確認をしておかないと、契約後に「話が違う」と声を上げても後の祭りということになりかねませんので、できる限り自分の目で確認することをおすすめします。
登記手続きは司法書士の方にお任せするケースが多いと思いますが、手続きにあたって実印・印鑑証明証・住民票が必要となりますので、事前に準備をしておくと良いでしょう。
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まとめ
公務員は副業ができない事をハンディキャップに感じるかもしれませんが、融資条件が有利な公務員と不動産投資との相性は抜群です。
公務員の方の不動産投資が問題にならない範囲をもう一度おさらいすると
・ 不動産投資の規模が5棟10室以下
・ 年間家賃収入は500万円以下
・ 管理委託をすること
この3つの条件を守りながら、不動産投資ライフを楽しんでいきましょう。
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