第1章|財政学は公務員試験の「満点を狙える」専門科目
この章では、公務員試験の専門科目のひとつである財政学が、なぜ「狙って点を取りやすい科目」なのかをわかりやすく紹介します。
「財政って難しそう…」「経済系の科目は全部苦手」という方でも大丈夫です。まずは、財政学の特徴・落とし穴・勉強するメリットをざっくりつかんでおきましょう。
・財政学がどんな専門科目かがイメージできる
・なぜ公務員試験で得点源になりやすいかが分かる
・このあとどんな順番で勉強すればよいか、道しるべができる
- 出題区分:多くの試験で専門科目(経済系)として出題
- レベル感:大学教養レベル〜経済学部で学ぶ財政学の基礎レベル
- 扱うテーマ:公共財・外部性・租税・社会保障・財政政策など
1-1|財政学は「政府の役割」を学ぶ科目
財政学をひと言でいうと、「市場だけではうまくいかないところを、政府がどう支えるかを考える学問」です。
- 国や地方公共団体がどのように税金を集め(歳入)、
- どのようにお金を使っているか(歳出)、
- その結果、社会全体にどんな影響が出るのか、
こうしたことを、「公共財」「外部性」「社会保障」「財政赤字」「財政政策」などの概念を使って整理していくのが財政学です。
同じ経済系の科目でも、ミクロ・マクロが市場全体の動きを分析するのに対して、財政学は「政府というプレイヤーの動き」に注目している、というイメージを持つと分かりやすいです。
・ミクロ経済学:市場の仕組みを見る科目
・マクロ経済学:国全体の経済を見る科目
・財政学:政府の役割と税金・支出を見る科目
1-2|財政学が「得点源」にしやすい3つの理由
財政学は、公務員試験の専門科目の中でも比較的点を取りやすい科目と言われます。その理由を3つに分けて見ていきましょう。
-
出題範囲が比較的コンパクト
財政学は、公共財・外部性・租税・社会保障・財政政策など、ある程度テーマが絞られているのが特徴です。
→ 教科書1冊+過去問をしっかり回せば、出題パターンをつかみやすく、「見たことがある内容」が増えていきます。 -
グラフより「文章理解」が中心
ミクロ・マクロほど複雑なグラフ計算は多くなく、文章・図表を読んで判断する問題がメインです。
→ 言葉の意味や考え方を押さえれば、数学が苦手でも十分に戦える専門科目といえます。 -
現実のニュースと直結していてイメージしやすい
「消費税」「社会保障」「財政赤字」「少子高齢化」など、ニュースで聞くテーマばかりです。
→ 日頃のニュースと結びつけながら勉強すると、暗記よりも理解ベースで頭に残りやすいのが強みです。
財政学は、「とっつきやすいテーマ」×「出るところが絞られている」専門科目です。
きちんと整理しておけば、満点も狙える得点源になります。
1-3|財政学で受験生がハマりがちな落とし穴
得点源にしやすい一方で、財政学にはよくあるつまずきポイントもあります。先に知っておくと、勉強の効率がぐっと上がります。
-
公共財と外部性をごちゃごちゃにしてしまう
「みんなで使えるもの」「影響が周りに及ぶもの」という点だけで、公共財と外部性の区別があいまいになっているパターンです。 -
税負担の帰着(誰が最終的に負担するか)が整理できていない
「企業に税金をかけたから企業が負担する」と短絡的に考え、需要・供給の弾力性を無視してしまうケースです。 -
財政政策の効果をミクロ・マクロと切り離して覚えてしまう
「景気対策=財政出動」までは分かるものの、マクロ経済(IS–LM・AD–AS)とのつながりがイメージできていない状態です。
・用語は必ず自分の言葉で1行説明できるようにする
・公共財/外部性/租税/社会保障などを、具体例とセットで覚える
・財政学とマクロ経済学(IS–LM・AD–AS)のつながりを意識する
1-4|この記事全体を読むメリット
この記事では、公務員試験の専門科目「財政学」を、 「全体像」→「頻出テーマ」→「事例問題」→「ミスと対策」 という流れで整理していきます。
- 財政学の全体像が図解付きでつかめる
- 公務員試験でどのテーマがよく出るかが分かる
- NG→OKの比較で、自分がハマりやすいポイントを事前に把握できる
さらに、第6章ではスタディング公務員講座を使って、財政学を最短ルートで得点源にする勉強法も紹介します。
「独学だけだと不安」「できるだけ効率よく専門科目を仕上げたい」という方は、そこまで読むことで自分に合った学習戦略が見えてくるはずです。
- ニュースで聞く言葉(消費税・社会保障・財政赤字など)と結びつけながら読む
- 新しい用語が出てきたら、「これは誰にとっての話か(政府?家計?企業?)」を意識する
- 「この制度は、どんな問題を解決したいのか?」と考えながら読み進める
それでは次の第2章から、財政学の全体像(財政学マップ)を図解で整理していきましょう。
第2章|財政学の全体像を図解で理解する(地図化)
財政学は、一見すると「税金」「社会保障」「財政赤字」などバラバラなテーマの集まりに見えますが、実は3つの大きなブロックでシンプルに整理できます。
ここでは、財政学を「地図」として頭に入れるために、SVG図解で全体像を押さえていきましょう。
2-1|財政学の3大ブロックをざっくりつかむ
公務員試験で出題される財政学は、おおまかに次の3つの大きなテーマに分けて考えると理解しやすくなります。
公共財とは、「誰かが使っても他の人の取り分が減らない」(非競合性)かつ、「料金を払わない人を締め出しにくい」(非排除性)といった特徴を持つ財です。
- 例:道路・公園・防波堤・防衛・街灯 など
- 問題点:民間市場に任せるとタダ乗り(フリーライダー)が発生し、供給が不足しがち
- 政府の役割:税金を集めてみんなのために供給する
公共財の理解は、財政学だけでなく行政の実務イメージにもつながる、大事な出発点です。
市場にすべてを任せればうまくいくわけではありません。外部性・独占・情報の非対称性などが原因で、市場だけでは望ましい結果にならない状況を「市場の失敗」と呼びます。
- 外部性:ある人の行動が、市場を通さずに他人に影響を与える(公害、予防接種 など)
- 独占:競争が働かず、価格が高止まり・供給が少なすぎる
- 情報の非対称性:売り手と買い手で持っている情報が偏っている
財政学では、これらの市場の失敗に対して、政府がどう介入するべきか(課税・補助金・規制など)を考えていきます。
財政政策とは、政府が税金(歳入)を集め、公共事業・社会保障・教育・防衛など(歳出)にお金を使うことで、景気や所得分配を調整することです。
- 歳入:所得税・消費税・法人税などの税収
- 歳出:公共投資・教育・社会保障(年金・医療・介護)など
- 目標:景気安定化、所得再分配、将来世代とのバランス(財政赤字・国債)
財政政策の分野では、マクロ経済学(IS–LM・AD–AS)とのつながりも問われます。財政学とマクロをセットで理解すると得点が安定しやすくなります。
2-2|「誰のため・何のための制度か」で整理する
財政学は用語が多く感じますが、「誰のための制度か?何を解決したいのか?」という視点を持つと、グッと分かりやすくなります。
・公共財:みんなのために、政府がまとめて供給する仕組み
・市場の失敗:市場だけでは解決できない問題を、税・補助金・規制で調整する仕組み
・財政政策:景気や所得分配を整えるために、税金と支出をコントロールする仕組み
この3つの視点でニュースやテキストを読み直すと、バラバラに見えていた財政学の内容が一本のストーリーにつながっていきます。
2-3|このあと学ぶべき「頻出テーマ」5つ
次の第3章では、この3大ブロックの中から、公務員試験で特に出題頻度の高い5つのテーマを取り上げ、図解+カード形式で解説していきます。
- 公共財(非競合性・非排除性・タダ乗り)
- 外部性(正の外部性・負の外部性)
- 租税(直接税・間接税・税負担の帰着)
- 財政政策(乗数効果・景気安定化)
- 社会保障(年金・医療・少子高齢化との関係)
これらを押さえることで、財政学の得点力が一気に上がります。 それでは、第3章で具体的な頻出テーマを見ていきましょう。
第3章|公務員試験でよく出る財政学の頻出テーマ5つ
ここからは、公務員試験の専門科目「財政学」で特に出題頻度が高い5つのテーマを、図解とカードでコンパクトに整理していきます。
第2章で見た3大ブロックの中から、過去問で何度も登場する鉄板分野だけをピックアップしました。
① 公共財(非競合性・非排除性)
② 外部性(正の外部性・負の外部性)
③ 租税と税負担の帰着(直接税・間接税)
④ 財政政策と乗数効果
⑤ 社会保障(年金・医療・少子高齢化)
3-1|公共財:みんなで使うけれど、誰も締め出せない財
財政学の入口は公共財です。公共財とは、「誰かが使っても他の人の取り分が減らない」うえに、「お金を払っていない人を追い出しにくい」という特徴を持つ財のことです。
- 非競合性:ある人が利用しても、他の人の利用可能量が減らない
- 非排除性:料金を払っていない人を締め出すことが難しい
- 結果:市場に任せるとタダ乗り(フリーライダー)が発生し、供給不足になりやすい
そのため、公共財は政府が税金で供給する必要がある、という流れを押さえておきましょう。
3-2|外部性:市場を通さずに他人へ影響が及ぶ現象
外部性とは、ある人や企業の行動が、市場での価格を通さずに、他人の効用や利得に影響を与えることです。
公務員試験では、正の外部性・負の外部性の違いと、それに対して政府がどう介入するかがよく問われます。
- 正の外部性:社会全体の便益 > 個人の便益 → 市場任せだと少なすぎる → 補助金などで増やす
- 負の外部性:社会全体の損失 > 個人の費用 → 市場任せだと多すぎる → 課税や規制で減らす
- 政府の役割:「ちょうどよい水準」に近づけるように介入する
3-3|租税と税負担の帰着:誰にどれだけ負担が移るのか
財政学では、「税金を課したとき、最終的に誰がどれだけ負担するのか」という税負担の帰着がよく問われます。
ここでは、需要・供給の弾力性と税負担の関係を図解で確認します。
- 名目上の納税者(法律上誰が納めるか)と、経済的な負担者(実際に損をする人)は一致しないことがある
- 税負担は、価格の動きを通じて売り手・買い手に分かれていく
- 需要・供給のうち、弾力性が小さい側(動きにくい側)がより大きな負担を負う
「誰に税を課すか」ではなく、「どちらの曲線が動きにくいか」で負担の大きさが変わる点が、公務員試験でもよく狙われます。
3-4|財政政策と乗数効果:支出1が経済全体で何倍にもなるしくみ
財政政策の代表例が、政府支出の増加や減税などです。これらが国民所得に与える影響を測る考え方が乗数効果です。
- 乗数:政府支出1単位の増加が、国民所得を何倍に増やすかを表す数字
- 単純なケインズ型モデルでは、政府支出乗数=1 / (1 − c)(c:限界消費性向)
- 限界消費性向cが大きいほど、乗数効果も大きくなる
公務員試験では、式の暗記+数値代入の計算問題がよく出るので、最小限の公式は押さえておきたいところです。
3-5|社会保障:高齢化・少子化とセットで問われる分野
財政学の後半で重要になるのが社会保障です。年金・医療・介護など、生活を支える仕組みと財政の関係を扱います。
- 公的年金:現役世代が保険料や税金で高齢者を支える仕組み(賦課方式など)
- 医療保険:病気・けがに備える保険制度
- 介護保険・福祉:高齢化に伴い重要性が高まっている分野
公務員試験では、制度の仕組み・長所と課題・少子高齢化との関係などが文章問題で狙われます。
・「誰が負担し、誰を支えている制度か」を整理する
・年金・医療・介護それぞれについて、財源・対象・課題をセットで覚える
・ニュース(年金財政・社会保障費の増加など)とリンクさせると理解が深まります。
・財政学の頻出テーマは「公共財」「外部性」「租税・税負担」「財政政策・乗数」「社会保障」に集中している
・グラフや用語は、日本語1行の説明+図解イメージで覚えると、暗記に頼らず得点しやすい
・次の第4章では、ここで扱った内容をもとに実際の事例問題をNG→OK形式で解説し、解き方の流れを身につけていきます。
第4章|よく出る事例問題をNG→OKで攻略する
ここでは、公務員試験の専門科目「財政学」でつまずきやすい典型パターンを、NG解答 → OK解答の流れで解説していきます。
実際の本試験をイメージしながら、どこで考え違いをしやすいのかをハッキリさせておきましょう。
事例①:公共財と外部性をごっちゃにするミス
事例②:外部性への政府介入(補助金・課税)の方向を逆に覚えるミス
事例③:税負担の帰着で「名目上の納税者=負担者」と思い込むミス
4-1|事例①:公共財と外部性を「なんとなく似ている」で混同する
まずは、多くの受験生が混乱しがちな「公共財」と「外部性」の区別に関する事例です。
ある自治体は、公園整備のために税金を使って新しい公園をつくった。この政策の説明として最も適切なものを選べ。
確かに、公園ができることで周辺の住民の満足度や地価が上がるなどの効果(正の外部性)はあります。
しかし、問題文が聞いているのは「公園整備という政策そのものは何か?」であり、
公園自体の性質は公共財として説明するのが基本です。
公園そのものは、誰かが利用しても他の人の利用可能性がほとんど減らず(非競合性)、
フェンスで囲って料金を取ることが難しい(非排除性)ため、典型的な公共財として扱われます。
- 公園そのもの → 公共財として税金で供給
- 公園による周辺へのプラス効果 → 正の外部性として分析できる
つまり、「公園=公共財」「公園の波及効果=外部性」とレイヤーを分けて考えるのがポイントです。
・公共財=財そのものの性質(非競合・非排除)
・外部性=行動が他人に与える影響
・同じ事例でも「どの側面を説明しているか」で使う概念が変わることを意識しましょう。
4-2|事例②:正の外部性・負の外部性で補助金と課税を逆にしてしまう
次は、正の外部性・負の外部性と、それに対する政府の介入(補助金・課税・規制)を混同してしまうケースです。
① 予防接種の受診率が低く、感染症拡大のリスクがある。 ② 工場からの排煙により、周辺住民の健康被害が出ている。 それぞれに対する政府の政策として適切なものを選べ。
「外部性=よくないもの」という漠然としたイメージで、正の外部性にも課税と考えてしまうパターンです。 これでは、せっかく社会にとって望ましい行動まで抑えてしまうことになります。
ポイントは、「増やしたい行動」か「減らしたい行動」かを見極めることです。
- 予防接種:社会的に見ればもっと行われてほしい → 補助金・保険適用などで後押し
- 工場排煙:社会的に見れば減らしたい → 課税・排出規制・排出量取引などで抑制
正の外部性=「増やすために補助」、負の外部性=「減らすために課税・規制」という基本セットを確実に押さえておきましょう。
・外部性問題は「社会的に見て量が多すぎるか/少なすぎるか」をまず判断
・そのうえで、「増やす政策(補助金)」か「減らす政策(課税・規制)」かを選ぶ
・選択肢で「正の外部性に課税」「負の外部性に補助金」などが出たら要注意です。
4-3|事例③:税負担の帰着で「名目上の納税者=負担者」と思い込む
最後は、財政学で頻出の税負担の帰着に関する事例です。 「企業に課税したから企業が負担」「消費税だから消費者だけが負担」と考えるのは要注意です。
ある財に対して、政府が1単位あたり一定額の税金を導入した。 需要はあまり価格に反応せず(非弾力的)、供給は価格に敏感に反応する(弾力的)とき、税負担は誰に重くのしかかるか。
「誰に課税したか」だけを見て、「= 誰が負担するか」と短絡的に考えてしまうパターンです。 実際には、税導入後の価格の変化を通じて、売り手と買い手の間で負担が分かれるのがポイントです。
税負担の帰着は、どちらの側が価格変化にどれだけ反応できるか(弾力性)で決まります。
- 需要が非弾力的:価格が上がってもあまり量を減らせない → 消費者が負担しやすい
- 供給が弾力的:価格が下がると供給を減らしやすい → 生産者は税負担を価格転嫁しやすい
したがって、この事例では消費者側の税負担が大きくなると判断するのが正解です。
・名目上の納税者と経済的な負担者は必ずしも一致しない
・「どちらの弾力性が小さいか(動きにくいか)」を見て負担の大きさを判断
・選択肢で「課税主体=負担者」と決めつけている文章があれば要注意です。
・財政学の事例問題は、「なんとなくイメージ」で解くと公共財と外部性・補助金と課税・税負担の帰着を混同しやすい
・「何を説明する概念か」「増やしたい行動か減らしたい行動か」「どちらの弾力性が小さいか」を整理して考えるのがコツ
・NG→OKの流れを意識して、自分がどこで勘違いしやすいかを把握しておくと、同じミスを本番で繰り返しません。
次の第5章では、ここまでの内容をふまえて、受験生が陥りがちなミス3つとその対策をさらに整理していきます。
第5章|受験生が陥りがちなミス3つとその対策
ここまでで、公務員試験の専門科目「財政学」の全体像・頻出テーマ・事例問題を見てきました。
この章では、とくに本試験で点を落としやすいミス3つをピックアップし、NGパターンとOKパターンを比較しながら具体的な対策を整理します。
ミス①:公共財と外部性の区別があいまいなまま進む
ミス②:乗数効果を「公式暗記+計算だけ」で終わらせてしまう
ミス③:税負担の帰着を「誰に課税したか」だけで判断してしまう
5-1|ミス①:公共財と外部性の区別があいまい概念理解
財政学の序盤で必ず出てくるのが公共財と外部性ですが、ここをあいまいにしたまま先に進んでしまうと、 事例問題で「どの概念を当てはめるべきか」が分からなくなります。
- 「みんなで使う」「社会全体に影響」というイメージだけで判断している
- 公共財と正の外部性の典型例(道路・公園・教育など)がごちゃ混ぜ
- その結果、問題でどの用語が最適か選べない
公共財と外部性は、次の「何を説明しているか」の違いで整理するとスッキリします。
- 公共財:財そのものの性質
└ 非競合性(誰かが使っても他人の取り分が減らない)
└ 非排除性(タダ乗りを締め出しにくい) - 外部性:行動が他人に与える影響
└ 正の外部性(教育・予防接種など)
└ 負の外部性(公害・騒音など)
同じ事例でも、「公園そのもの」を説明するなら公共財、「公園の影響」を説明するなら外部性、というようにレイヤーを分けて考える癖をつけましょう。
・ノートの1ページを「公共財」「外部性」に分けて、例とキーワードを整理する
・過去問の選択肢を読み、「これは財の性質?行動の影響?」と声に出して確認する
5-2|ミス②:乗数効果を「公式暗記」と「計算」だけで覚えてしまう計算ミス
乗数効果は、式と計算問題が出やすいため、つい公式暗記+数値代入だけで対策しがちです。 しかし、意味が分からないままだと符号を間違える・どの乗数を使うか迷うといったミスにつながります。
- 政府支出乗数・税額乗数・移転支出乗数の区別があいまい
- 問題文を読まずに、とりあえず覚えている式を当てはめてしまう
- さいごの符号(+か−か)を勘で決めてしまう
乗数効果は、次の2ステップで考えるとミスが減ります。
- どの乗数を使う問題か?
・政府支出の変化 → 政府支出乗数 1 / (1 − c)
・一定額の租税(定額税)の変化 → 税額乗数 −c / (1 − c) など - 政策の方向はプラスかマイナスか?
・政府支出「増加」→ Yを押し上げる方向(+)
・税金「増加」→ 可処分所得を減らし、Yを押し下げる方向(−)
「式を覚える」よりも、“何をすると所得が増える/減るのか”という方向性を理解しておくことが重要です。
・問題を解く前に、まず「これは支出の話?税の話?」とメモする
・計算の最後に「この政策でYは増えるはずか?減るはずか?」を言葉で確認してから答えをマークする
5-3|ミス③:税負担の帰着を「誰に課税するか」だけで判断する税負担
税負担の帰着では、「誰が税務署にお金を払うか」と「誰が実際に負担しているか」を混同してしまうミスが非常に多いです。
- 「企業に課税」と書いてあると、企業だけが負担していると考えてしまう
- 価格転嫁を通じて、一部が消費者に移っている可能性を見落とす
- 需要・供給曲線の弾力性を全く見ていない
税負担の帰着では、次の2点をセットで押さえましょう。
- 名目上の納税者:法律上「誰が税務署に納めるか」
- 経済的な負担者:価格や取引量の変化を通じて、最終的に誰の所得がどれだけ減っているか
そして、弾力性が小さい(動きにくい)側がより大きな税負担を負うという原則を覚えておきます。
- 需要が非弾力的(医薬品など):価格が上がっても買わざるを得ない → 消費者負担が大きい
- 供給が非弾力的(短期的に生産を減らせない財など):生産者負担が大きい
選択肢を読むときは、「どちらの側が動きにくいか?」に注目すると、負担のイメージがつきやすくなります。
・ノートの見出しを「名目上の納税者」「経済的な負担者」に分けて事例を書き出す
・練習問題で「このケースではどちらの弾力性が小さいか?」と一言メモを残す習慣をつける
・財政学の失点パターンは、「概念の混同」「公式丸暗記」「税負担のイメージ不足」の3つに集約される
・公共財/外部性/乗数効果/税負担の帰着は、日本語1行+図のイメージとセットで覚える
・NG→OKの比較で、自分がどのタイプのミスをしやすいかを把握しておくと、復習の効率が一気に上がる
次の第6章では、ここまでの内容を最短ルートで身につける勉強法として、スタディング公務員講座を活用する方法を詳しく紹介していきます。
第6章|スタディングで財政学を最短攻略する方法
ここまで見てきたように、財政学は「範囲がまとまっていて、理解すれば得点源にしやすい」専門科目です。 とはいえ、独学だけで公共財・外部性・租税・社会保障をすべて整理するのは、なかなか骨が折れます。
- 公共財・外部性・租税などを図解中心の講義で解説してくれる
- 「どの制度がどんな問題を解決するのか」をストーリーで説明
- 頻出論点だけを短い単元に分割しているので、スキマ時間でも進めやすい
- 講義直後にリンクした問題演習があるため、知識が定着しやすい
- AI復習機能で、忘れかけた頃に自動で復習させてくれる
6-1|講義 → 演習 → AI復習の3ステップで財政学を固める
教科書だけだと分かりづらい、公共財・外部性・税制・社会保障などの論点を、スタディングでは図解中心のスライド+講義動画で解説してくれます。
- 公共財:タダ乗り問題と政府供給の意義がイメージで理解できる
- 外部性:正の外部性・負の外部性と、補助金・課税の対応関係が整理される
- 租税:税負担の帰着や直接税・間接税の違いが、ケースごとに把握できる
- 社会保障:年金・医療・介護制度の構造や課題がまとまっている
財政学は、「分かったつもり」でも選択肢問題になると迷いやすい科目です。 スタディングでは、講義で学んだ論点に対応した問題を、すぐにスマホで解くことができます。
- 公共財・外部性・租税・社会保障など、頻出テーマ別に演習できる
- 解説で「なぜ他の選択肢が間違いか」までチェックできる
- 間違えた問題には自動で復習フラグがつき、後から解き直しやすい
財政学は、一度理解しても時間がたつと用語や仕組みを忘れてしまいがちです。 スタディングのAI復習は、解答データから「忘れそうなタイミング」を予測し、ちょうどよい間隔で問題を出してくれます。
- 自分で「復習計画」を立てなくても、自動で復習スケジュールが回る
- 公共財・外部性・租税など、苦手論点が重点的に出題される
- 結果として、短い時間でも効率よく記憶が定着する
6-2|財政学×スタディングを使うと、どんな人に向いている?
・経済系の科目に苦手意識がある
・仕事や授業でまとまった勉強時間が取りづらい
・テキストを読んでもイメージがつかめず、図解で理解したい
・自分で勉強計画を立てるのが苦手で、学習ルートを任せたい
逆に、すでに大学の経済学部レベルで財政学を履修していて、教科書も問題集もやり込んでいるという方には、 必須ではないかもしれません。ただし、「公務員試験向けに頻出論点だけを整理したい」という方には、かなり効率のよい選択肢になります。
6-3|スタディングの詳しいレビュー記事もチェック
スタディングについては、実際に使ってみた感想やメリット・デメリットを、別の記事でくわしくまとめています。
6-4|今から財政学を得点源にしたい人へ
財政学は、公共財・外部性・租税・社会保障といったテーマを押さえれば、一気に点数が安定する科目です。 独学で時間がかかっていると感じる場合は、スタディングを使って「講義 → 演習 → AI復習」の流れに乗ることで、 学習時間と失点リスクをかなり減らすことができます。
【公式サイトへ】スタディング公務員講座をチェックする財政学は「理解できると一気に楽しくなる」科目です。 自力で進めるのが大変だと感じたら、スタディングのようなツールを上手に使って、短期間で“得点源”に変えてしまいましょう。
第7章|財政学の総まとめ(重要ポイントの再確認)
ここでは、第1章〜第6章までの内容を振り返りながら、公務員試験で財政学を得点源にするためのチェックポイントを整理します。
「どこから復習し直せばいいか分からない…」というときは、この章をチェックリスト代わりに使ってください。
財政学は、ミクロ・マクロと並ぶ経済系の専門科目ですが、視点が少し異なります。
- ミクロ経済学:個々の市場での価格・量の決まり方を見る
- マクロ経済学:国全体の所得・物価・失業率などを見る
- 財政学:政府が税金をどう集め、どう使うかと、その影響を考える
「市場に任せるとうまくいかない部分を、政府がどう補うか」を学ぶのが財政学だと押さえておけばOKです。
第2章で整理したように、公務員試験レベルの財政学は次の3大ブロックに分けると理解しやすくなります。
- ① 公共財:非競合性・非排除性、タダ乗り問題、政府供給の意義
- ② 市場の失敗と政府の役割:外部性・独占・情報の非対称性など
- ③ 財政政策(歳入・歳出):税制・社会保障・景気安定化・国債と財政赤字
まずは、「これはどのブロックの話か?」と分類できるようにしておくと、 知識がバラバラに散らからず、一つの地図として頭に残るようになります。
第3章で扱った頻出5テーマは、どの試験種でもよく問われる鉄板分野です。
- 公共財:非競合性・非排除性/タダ乗り問題/政府供給
- 外部性:正の外部性(教育・予防接種)/負の外部性(公害・騒音)
- 租税・税負担の帰着:直接税・間接税/需要・供給の弾力性
- 財政政策・乗数効果:政府支出乗数・税額乗数/景気安定化
- 社会保障:年金・医療・介護/少子高齢化との関係
それぞれについて、「日本語1行の定義+具体例+簡単な図」をセットで思い出せるかどうかが合格ラインです。
第4章・第5章では、受験生が陥りやすいミスをNG→OK形式で確認しました。
- 公共財と外部性をごちゃごちゃにしてしまう
- 正の外部性・負の外部性に対する補助金/課税を逆に覚えてしまう
- 乗数効果を公式暗記だけで終わらせてしまう
- 税負担の帰着で、「名目上の納税者=負担者」と思い込む
大事なのは、「自分はどのNGパターンに当てはまりやすいか」を知ることです。 そこが分かれば、復習の優先順位がハッキリし、勉強の効率が一気に上がります。
第6章では、財政学の学習を効率化するツールとしてスタディング公務員講座を紹介しました。
- 図解講義で、公共財・外部性・租税・社会保障のイメージがつかみやすい
- 講義とリンクした問題演習で、すぐにアウトプットできる
- AI復習機能で、忘れかけたころに自動で復習させてくれる
「テキストだけではイメージがつかみにくい」「計画を立てるのが苦手」という方ほど、 スタディングを併用することで、短期間で財政学を得点源に変えやすくなります。
・まずは3大ブロック(公共財・市場の失敗・財政政策)で全体像をつかむ
・頻出5テーマは、「定義+具体例+図」で覚える
・NG→OK比較で、自分のミスの型を知り、重点的に復習する
・独学が重くなってきたら、スタディングを活用して講義→演習→AI復習の流れに乗る
この流れを意識すれば、財政学は公務員試験の中でも安定して得点できる、頼れる専門科目になります。
次の第8章では、財政学の学習とあわせて読みたい関連記事(ミクロ経済学・マクロ経済学・スタディングレビューなど)を、 カード形式でまとめて紹介します。

