第1章|ミクロ経済学は公務員試験の「最重要専門科目」な理由
この章では、公務員試験の専門科目の中でもミクロ経済学がなぜ「最重要レベルの得点源」と言われるのかをわかりやすく解説します。
「経済は苦手…」「グラフが多そうで怖い…」という人でも大丈夫です。まずは科目の特徴と、どこでつまずきやすいのかをざっくりつかんでおきましょう。
・公務員試験の専門科目の中で、ミクロ経済学の立ち位置がわかる
・「どこが得点源なのか」「どこが難所なのか」がイメージできる
・このあと勉強するときの道しるべをつくる
- 出題区分:多くの公務員試験で専門科目として出題
- レベル感:大学の教養レベル〜経済学部1〜2年生レベル
- 問題形式:グラフ・計算・用語理解がバランスよく出題
1-1|ミクロ経済学はどんな専門科目?
ミクロ経済学は、かんたんに言うと「個々の市場や企業・消費者の動きを分析する科目」です。
- 「価格が上がると、どうして需要は減るのか?」
- 「企業はどのくらい生産すれば一番もうかるのか?」
- 「独占企業が価格を決めるとき、どんなことを考えているのか?」
こうした身近なお金やモノの動きを、グラフや数式を使って整理していくのがミクロ経済学です。
ミクロ経済学は、「理屈がわかればスラスラ解ける科目」です。
逆に、なんとなく丸暗記しようとすると一気に難しく感じてしまいます。
1-2|公務員試験でミクロ経済学が得点源になりやすい3つの理由
公務員試験の受験生の多くが「ミクロ経済は難しそう」と感じていますが、実はしっかり対策すれば差をつけやすい専門科目です。その理由を3つに分けて見ていきましょう。
-
出題パターンが決まっている
ミクロ経済学は、需要と供給・弾力性・費用・市場構造など、毎年よく出るテーマがほぼ決まっています。
→ 過去問とテキストをしっかり回せば、「見たことのある型」の問題が多くなり、安定して点を取りやすくなります。 -
グラフが読めれば一気に有利になる
多くの受験生は、グラフを見ると苦手意識から「とりあえず後回し」にしがちです。
しかし、グラフの意味を理解してしまえば、計算そのものはそこまで難しくありません。
→ グラフの形・交点・面積の意味を押さえることで、他の受験生と大きな差が生まれます。 -
一度理解すると他のテーマにもつながる
ミクロ経済学の考え方は、マクロ経済学や財政学など、ほかの専門科目にもつながっています。
→ 早めにミクロ経済学を固めることで、ほかの科目の理解スピードもアップします。
ミクロ経済学は「取っつきにくいけれど、攻略できれば一気に伸びる専門科目」です。
だからこそ、公務員試験では最重要レベルの得点源として位置づけられています。
1-3|ミクロ経済学でつまずきやすい“3つの落とし穴”
得点源になりやすい一方で、ミクロ経済学には受験生がハマりがちな落とし穴もあります。ここでは、よくあるパターンを先に共有しておきます。
- 用語だけ覚えて、意味をイメージできていない
例)「限界費用」「機会費用」などを暗記するだけで、実際のグラフや数字と結びついていない。 - 計算手順だけを丸暗記している
解説のとおりに数字を当てはめるだけで、「なぜその式になるのか」を理解していない。 - グラフの“動き”を追えていない
「価格が上がると、どの曲線がどう動いて、どこが新しい均衡か」がイメージできず、選択肢が絞りきれない。
・グラフは「形」だけでなく「動き」を意識する
・計算は「式の意味」をセットで覚える
・わからない用語は、必ず日本語の言いかえをしてから次に進む
1-4|この記事を読むメリット
この記事では、ミクロ経済学を「地図」→「頻出テーマ」→「事例」の順番で整理していきます。
- ミクロ経済学の全体像が図解でわかる
- どのテーマから勉強すべきかが明確になる
- よく出るパターン問題を、NG→OKの比較で理解できる
また、第6章ではスタディング公務員講座を使って、ミクロ経済学を最短ルートで攻略する方法も紹介します。
「独学だけでは不安…」「効率よく専門科目を固めたい」という人は、そこまで読めば自分に合う勉強法のイメージもつかめるはずです。
- グラフや用語は「なんとなく覚える」ではなくイメージを持つ
- 「なぜそうなるのか?」と一度立ち止まって考えてみる
- 難しいと感じたら、まずは図と結論だけを押さえてから細かい計算に進む
それでは次の章から、ミクロ経済学の全体像を図解しながら整理していきましょう。
第2章|ミクロ経済学の全体像を図解で理解する(地図化)
ここでは、公務員試験の専門科目として出題されるミクロ経済学を、5つの大きなテーマに分けて整理します。
先に地図を頭の中に作っておくと、このあとの「需要と供給」「弾力性」「消費者行動」「生産者行動」「市場構造」の学習で迷いにくくなります。
① 需要と供給
② 弾力性
③ 消費者行動(効用最大化)
④ 生産者行動(利潤最大化)
⑤ 市場構造(完全競争・独占・寡占など)
真ん中にある「需要と供給」が、ミクロ経済学の出発点です。
そこから
・価格の変化にどれだけ反応するか → 弾力性
・消費者がどの組み合わせを選ぶか → 消費者行動
・企業がどれだけ作るか・いくらで売るか → 生産者行動
・市場全体がどんな姿か → 市場構造
へと広がっていきます。
2-1|テーマ①「需要と供給」:ミクロ経済学のスタート地点
公務員試験のミクロ経済学では、まず需要曲線と供給曲線を使って、価格と取引量の決まり方を学びます。
- 需要曲線:価格が下がると「欲しい量が増える」ことを表すグラフ
- 供給曲線:価格が上がると「作って売りたい量が増える」ことを表すグラフ
- 均衡点:需要と供給がちょうど釣り合う価格・数量
この「需要と供給の均衡」を理解しておくと、あとの弾力性・市場構造・政策の影響などもスムーズにイメージできるようになります。
2-2|テーマ②「弾力性」:どれだけ反応するかを測る物差し
弾力性は、価格や所得が変化したときに需要や供給がどれくらい変わるかを示す指標です。
- 価格弾力性:価格が1%変わったとき、需要量が何%変わるか
- 所得弾力性:所得が増えたとき、どのくらい需要が増えるか
- 交差弾力性:ある財の価格の変化に対し、別の財の需要がどれくらい動くか
公務員試験の専門科目では、計算問題としてよく出題されますが、もとになる考え方は「反応の大きさを測る」というシンプルなものです。
2-3|テーマ③「消費者行動(効用最大化)」:人はどんな選び方をするのか
消費者行動の分野では、無差別曲線と予算制約線を使って、「どの組み合わせを選ぶと一番満足度(効用)が高くなるか」を考えます。
- 無差別曲線:満足度が同じになる財の組み合わせをつなげた線
- 予算制約線:手持ちのお金で買える財の組み合わせの限界
- 効用最大化点:無差別曲線と予算制約線が接する点
むずかしく聞こえますが、イメージとしては「限られたお金で、いちばん満足できる買い物をする」話です。公務員試験では、グラフ問題として頻出です。
2-4|テーマ④「生産者行動(利潤最大化)」:企業はどうやって生産量を決めるのか
生産者行動では、企業がどれだけ作ればいちばんもうかるのか(利潤最大化)を考えます。
- 限界費用(MC):もう1単位生産するときに増える費用
- 平均費用(AC):1単位あたりの費用
- 利潤最大化条件:限界費用MC = 限界収入MR
グラフで費用曲線を描けるようになると、完全競争市場・独占市場の問題にもスムーズにつながっていきます。
2-5|テーマ⑤「市場構造(完全競争・独占・寡占など)」:市場全体の姿をとらえる
最後に、市場全体の仕組みを表すのが市場構造です。公務員試験のミクロ経済学では、次のようなパターンがよく出題されます。
- 完全競争市場:たくさんの企業が競争しており、個々の企業は価格を決められない
- 独占市場:1社だけが市場を支配している状態
- 寡占市場:少数の大企業が市場を支配している状態
ここでは、価格や生産量・利潤・余剰などを比較しながら、「どの市場構造が社会的に望ましいか」といった視点も問われます。
公務員試験の専門科目としてミクロ経済学を勉強するときは、いきなり細かい計算やグラフの暗記に走らないことが大切です。
- まずは5大テーマの位置関係をつかむ
- それぞれのテーマで「何を説明したいのか」を一言で言えるようにする
- そのうえで、頻出パターンや計算問題に進む
次の第3章では、この5大テーマの中から公務員試験で特によく出る部分をピックアップして、図解+カード形式で整理していきます。
第3章|公務員試験でよく出るミクロ経済の頻出テーマ5選
ここからは、公務員試験の専門科目として頻出度が高い5つのテーマを、図解とミニ解説でコンパクトに整理していきます。
第2章で見た「ミクロ経済学の地図」の中から、特に過去問に何度も登場する重要分野だけをピックアップしました。
① 需要曲線と供給曲線の変化
② 価格弾力性の理解
③ 無差別曲線と予算制約
④ 費用曲線(MC・AVC・AC)
⑤ 独占企業・寡占モデル
3-1|需要曲線と供給曲線の変化:グラフの“動き”をつかむ
ミクロ経済学の出発点となるのが需要と供給です。公務員試験では、「どの曲線が、どちらに、なぜ動くのか」が問われます。
- 需要が増える(所得増加・好みの変化など) → 需要曲線が右へシフト
- 需要が減る → 需要曲線が左へシフト
- 生産コスト上昇 → 供給曲線が左へシフト
- 技術進歩 → 供給曲線が右へシフト
・「価格の変化で曲線上を動く」のか、「その他の要因で曲線そのものがシフトする」のかを区別する
・まずどの曲線が動くのかを決めてから、方向(右・左)を考えるとミスが減ります。
3-2|価格弾力性:反応の大きさを数字で測る
価格弾力性は、「価格が変わったとき、需要量がどれくらい変化するか」を数字で表したものです。式は少しややこしく見えますが、意味はシンプルです。
- 値段が少し上がっただけで、買う人がガクッと減る → 弾力性が大きい(弾力的)
- 値段が上がっても、あまり買う量が変わらない → 弾力性が小さい(非弾力的)
- 計算式:
価格弾力性 = (需要量の変化率)÷(価格の変化率)
・符号は通常「マイナス」ですが、絶対値で大小を比較することが多い
・「需要が弾力的 → 価格を下げると売上が増えやすい」など、売上との関係もセットで覚えると得点しやすくなります。
3-3|無差別曲線と予算制約:限られたお金で満足度を最大にする
消費者行動では、無差別曲線と予算制約線を使って、「どの組み合わせを選ぶと一番満足できるか」を考えます。
- 無差別曲線は右上ほど満足度が高い
- 無差別曲線どうしは交わらない
- 予算線と無差別曲線が接する点が効用最大化点
3-4|費用曲線(MC・AVC・AC):企業の“コスト構造”を理解する
生産者行動では、限界費用MC・平均可変費用AVC・平均費用ACの3つの曲線がよく登場します。グラフの位置関係がそのまま出題されることも多いです。
- MC(限界費用):もう1単位作るときに増える費用 → 多くの場合U字型
- AVC(平均可変費用):変動費を生産量で割ったもの → 多くの場合U字型
- AC(平均費用):総費用を生産量で割ったもの → AVCより上側にあるU字型
- 重要な性質:MCはAVCとACの最小点でそれぞれ交わる
・グラフの正確な式よりも、どの曲線がどこで交わるかがよく問われる
・完全競争市場では、「価格=限界収入MR」となり、利潤最大化条件は P=MC になる点もセットで覚えておきましょう。
3-5|独占企業・寡占モデル:市場構造による違いを比べる
市場構造では、完全競争・独占・寡占を比較する問題が頻出です。特に、価格と生産量・余剰・死荷重の違いがよく問われます。
- 完全競争市場
・企業数:多数
・価格決定:企業は価格受容者(プライステイカー)
・効率性:社会的余剰が最大になりやすい - 独占市場
・企業数:1社
・価格決定:企業が価格をコントロールできる
・特徴:価格が高く、数量が少なくなり、死荷重が発生 - 寡占市場
・企業数:少数の大企業
・行動:互いの反応を気にしながら価格・数量を決定
・クールノー・ベルトラン・カルテルなどのモデルが登場
・「完全競争 → 社会的にはいちばん“きれいな”状態」
・「独占 → 価格が高く、数量が少ない → 消費者にとっては不利」
・「寡占 → その中間で、企業どうしの“かけひき”がポイント」
というイメージで整理すると、選択肢問題が解きやすくなります。
・公務員試験のミクロ経済学では、グラフと数字の意味をセットで理解することが重要
・今回の5テーマは、どの試験種でも頻出なので、必ず「図が頭に浮かぶレベル」まで仕上げておきましょう。
次の第4章では、これらの頻出テーマをもとに、実際の事例問題を「NG→OK」で比較しながら、解き方の流れを身につけていきます。
第4章|よく出る事例問題をNG→OKで攻略する
ここでは、公務員試験の専門科目「ミクロ経済学」で受験生がつまずきやすい典型パターンを、NG解答→OK解答の順に比較しながら解説していきます。
本番の問題をイメージしやすいように、簡略版の事例+図解で流れをつかみましょう。
事例①:需要のシフトを誤読するミス
事例②:費用曲線の位置関係を取り違えるミス
事例③:独占企業の価格設定を誤ってしまうミス
4-1|事例①:需要のシフトを「価格変化」と勘違いしてしまう
まずは需要と供給の典型的なミスから見ていきます。
ある財Xについて、消費者の所得が増加した。その結果、財Xに対する需要が増加した。このとき、需要曲線と均衡価格・均衡量はどのように変化するか。
需要が増える=価格が下がる、と「価格の変化」と混同してしまい、 「需要曲線上を右下に移動するだけ」と考えてしまうパターンです。
- 需要曲線はそのまま、点だけ右下へ移動したと考える
- 結果として、「価格↓・数量↑」と誤って結論づける
しかし実際には、所得増加のような価格以外の要因は、需要曲線そのものをシフトさせる要因です。
所得が増えると、財Xをより多く購入できるようになるため、各価格における需要量が増加します。
したがって、
- 需要曲線は右へシフト(D₀ → D₁)
- 供給曲線は変化しない
- 新しい均衡点では、価格も数量も上昇する
→ 結論:「需要曲線の右シフト → 均衡価格・均衡量ともに上昇」が正解です。
・価格以外の要因(所得・好み・他財の価格など)は、曲線そのものを動かす
・「曲線上の移動」か「曲線のシフト」かを、毎回意識して区別しましょう。
4-2|事例②:費用曲線の位置関係を取り違えてしまう
次は、生産者行動で頻出の費用曲線(MC・AVC・AC)です。グラフの細部よりも、位置関係が問われることが多い分野です。
次のうち、限界費用MC・平均可変費用AVC・平均費用ACの関係として正しいものを選べ。
- A:MC曲線は、AVC曲線とAC曲線の最小点でそれぞれ交わる。
- B:AC曲線は常にAVC曲線よりも下に位置する。
- C:AVC曲線が上昇しているとき、必ずMC曲線はAC曲線より下にある。
グラフの形をなんとなく覚えているだけで、「ACとAVCの上下関係」を逆にイメージしてしまい、 「ACが下でAVCが上」と誤って覚えているケースです。
その結果、
- 「ACのほうが“平均可変費用だから小さいはず”」と感覚で考えてしまう
- Bの「ACが常にAVCより下」という選択肢を正解だと思ってしまう
AC(平均費用)は、固定費+可変費を生産量で割ったものです。
一方、AVC(平均可変費用)は、可変費だけを生産量で割ったものです。
- したがって、ACは必ずAVC以上になる
- グラフでは、AC曲線がAVC曲線の上側に位置する
- MC曲線は、AVCとACのそれぞれの最小点を通る
→ よって、選択肢Aが正しく、B・Cは誤りとなります。
・ACとAVCはどちらもU字型
・上:AC / 下:AVC / 真ん中から突き抜ける:MC というイメージで覚えておくと、選択肢問題で迷いにくくなります。
4-3|事例③:独占企業の価格設定を「完全競争」と同じだと思ってしまう
最後は、市場構造のうち独占企業の問題です。利潤最大化の条件を整理しておきましょう。
独占企業が利潤を最大にするとき、生産量と価格はどのように決定されるか。完全競争市場との違いに注意して説明せよ。
完全競争市場で学んだ「P=MC」という条件を、そのまま独占企業にも当てはめてしまうパターンです。
しかし、独占企業では企業が価格をコントロールできるため、完全競争と同じ「P=MC」にはなりません。
独占企業の利潤最大化の流れは、次の3ステップで考えます。
- まず「MR=MC」で生産量Q*を決める
・MR(限界収入)=追加で1単位売ったときに増える収入
・MC(限界費用)=追加で1単位作ったときの追加費用
→ MR=MCとなる点が利潤最大の生産量Q* - 次に、需要曲線から価格P*を読み取る
・決めた生産量Q*を、需要曲線上に当てはめる
・そのとき消費者が支払ってくれる価格がP* - 結果として、P*はMCより高くなる
・独占では、価格は限界費用よりも高く設定される
・その分だけ消費者余剰が小さくなり、死荷重が生じる
→ つまり、独占企業:MR=MCでQを決定 → 需要曲線からPを決定 という順番で考えるのが正解です。
・完全競争:企業は価格受容者 → P=MR なので、結局P=MCで利潤最大化
・独占:企業が価格を決められる → P ≠ MR なので、MR=MCで量を決めてから価格を決める
この違いを押さえると、市場構造の問題がぐっと解きやすくなります。
・ミクロ経済学の事例問題は、「なんとなくのイメージ」で解こうとするとNGパターンにハマりやすい
・需要のシフト/費用曲線/独占企業の価格決定は、公務員試験の専門科目で何度も問われる頻出テーマ
・NG→OKの流れで、「どこで勘違いしやすいか」を意識しながら復習することで、ミスを大きく減らせます。
次の第5章では、ここまでの内容をふまえて、受験生が陥りがちなミス3つと対策をさらに整理していきます。
第5章|受験生が陥りがちなミス3つとその対策
ここまでで、公務員試験の専門科目としてのミクロ経済学の全体像・頻出テーマ・事例問題を見てきました。
この章では、実際の受験生がよくハマってしまう3つの典型的なミスと、その具体的な対策をNG→OK形式で整理していきます。
ミス①:グラフを丸暗記しようとして挫折する
ミス②:弾力性の計算「だけ」を覚えて意味を理解していない
ミス③:無差別曲線・効用最大化の本質をイメージできていない
5-1|ミス①:グラフを「形だけ」丸暗記しようとしてしまう需要・供給/費用曲線
ミクロ経済学が苦手な受験生の多くは、まずグラフの多さに圧倒されてしまいます。その結果、つい次のような勉強法になりがちです。
- テキストのグラフをひたすらノートに写して満足してしまう
- 「とりあえずこの形を覚えれば点が取れるはず」と考え、意味を確認しない
- 線の傾き・位置だけを覚えて、「なぜそうなるのか」を考えない
このやり方だと、少しひねった問題が出た途端に「見たことないグラフだから解けない…」となってしまいます。
- グラフを見るときは、「横軸・縦軸は何を表しているか」を必ず確認する
- 需要・供給なら、「価格が変わったとき、量がどう動くのか」を言葉で説明してからグラフを見る
- 費用曲線なら、「1単位増やすときの費用(MC)がどう変わると考えられるか」をイメージする
つまり、①言葉(日本語)→②イメージ→③グラフの順に理解するのがポイントです。
・テキストのグラフを写すときは、必ず横に「このグラフは何を伝えたいのか?」を1行メモする
・過去問を解いた後、「このグラフを一言で説明すると?」と自分に問いかける
→ これだけでも「丸暗記」から「意味理解」ベースに切り替わります。
5-2|ミス②:弾力性の計算「だけ」を覚えて意味がわからない弾力性
価格弾力性・所得弾力性・交差弾力性などは、計算式そのものが先に頭に入ってしまいがちです。
- 「弾力性=需要量の変化率 ÷ 価格の変化率」とだけ覚えて、何を測っている数字かは曖昧
- 符号(プラス/マイナス)に意味があることを意識していない
- 「弾力的」「非弾力的」が、売上とどう関係するかを説明できない
こうした状態だと、計算問題は解けても、文章問題・グラフ問題になると急に苦しくなります。
弾力性は一言でいうと、「どれだけ敏感に反応するか」を測る数字です。
- 価格弾力性:価格が1%変化したとき、需要量が何%変わるか
- 所得弾力性:所得が増えたとき、需要が増えるか減るか → 財の種類(必需品・ぜいたく品など)を表す
- 交差弾力性:他の財の価格が変わったとき、需要がどう動くか → 代替財・補完財の関係を表す
また、価格弾力性と売上の関係は次のように整理できます。
- 需要が弾力的(絶対値が1より大きい):価格を下げると売上は増えやすい
- 需要が非弾力的(絶対値が1より小さい):価格を上げても売上はあまり減らない
・新しい弾力性の公式を覚えたら、「これは何の反応を測っている数字?」と必ず自分に質問する
・選択肢を読むときも、「この文章は弾力性のどの側面を聞いているのか」を意識して読む
→ 公式を覚えるだけの勉強から、試験で点が取れる勉強に変わります。
5-3|ミス③:無差別曲線・効用最大化の“イメージ”がない消費者行動
無差別曲線と予算制約線の分野は、図がやや抽象的で、「なんとなく線が接している図」としてしか覚えていない受験生が多いです。
- 「無差別曲線は右上が高い」とだけ覚えている
- 予算制約線との接点=効用最大化点だと知っているが、なぜ接するのかは説明できない
- 「限界代替率(MRS)」という言葉だけが先行し、意味がぼんやりしている
これだと、少し設定が変わった問題になったときに、選択肢を絞りきれない原因になります。
無差別曲線の分野は、「限られたお金で、どんな組み合わせの買い物をするか」という話です。
- 無差別曲線:
→ 「この線上なら、どの組み合わせでも満足度は同じ」というライン - 予算制約線:
→ 「ここまでが自分の財布の限界」を表す線 - 効用最大化点:
→ ちょうど予算の限界いっぱいまで使い切りつつ、いちばん満足度の高い組み合わせを選んだ点
このとき、接点では「無差別曲線の傾き(MRS)」=「価格比(Px/Py)」が成り立つ、というのが数式レベルでの表現です。
・「もし自分が、AとBという2つのものにお金を使うとしたら?」と、実際の買い物をイメージしてみる
・図を描くときに、「ここが今日の買い物プラン」というように、具体的なシチュエーションを設定しておく
→ 抽象的な線が、「自分の行動」と結びつくと、一気に理解しやすくなります。
・ミクロ経済学の失点パターンは、「丸暗記」「公式だけ」「イメージ不足」の3つに集約される
・グラフ・公式・用語は、必ず日本語の一言説明+イメージとセットで覚えることが大切
・NG→OKの比較で、自分がどこでつまずきやすいかを明確にしておくと、復習の効率がぐっと上がります。
次の第6章では、ここまでの内容を最短ルートで身につけるための勉強法として、スタディング公務員講座の活用方法を詳しく紹介していきます。
第6章|スタディングでミクロ経済学を最短攻略する
ここまで、公務員試験の専門科目としてのミクロ経済学の中身を整理してきましたが、「実際の勉強をどう進めるか」が一番の悩みどころだと思います。
独学だけでミクロ経済学を仕上げることも不可能ではありませんが、 グラフ・計算・用語のすべてを1人で管理するのはかなり大変です。
そこでおすすめなのが、オンライン予備校のスタディング公務員講座を使って、「講義 → 演習 → AI復習」の流れで一気に固めてしまう方法です。
・ミクロ経済学の重要テーマだけを効率よくピックアップしてくれる
・グラフや計算の「なぜそうなるか」部分を講義でかみ砕いて説明
・スマホでサクッと復習できるので、スキマ時間にも専門科目を進められる
当サイト(えびうるブログ)では、スタディング公務員講座について、
実際に使って感じたメリット・デメリットをまとめたレビュー記事も公開しています。
「どんな講座なのか、もう少し詳しく知りたい」という方は、まずは下記のレビュー記事もチェックしてみてください。
6-1|「講義 → 演習 → AI復習」でミクロ経済を固める流れ
スタディング公務員講座では、ミクロ経済学を含む専門科目を3ステップで学べるように設計されています。
- 重要テーマに絞って、アニメーションや図解付きの講義で解説
- 「このグラフは何を表しているのか?」を日本語で説明してくれる
- スマホ・タブレットから視聴できるので、通学・通勤時間にも学習可能
- 講義に対応した確認テスト・過去問がセット
- 「需要と供給」「弾力性」「無差別曲線」など、公務員試験頻出テーマを重点的に演習
- 解説も講義と同じく、図を使って丁寧に説明してくれる
- 間違えた問題や正答率の低い問題を、AIが自動でピックアップ
- 「久しぶりに解くと怪しい問題」を中心に出題してくれる
- 自分で「どこを復習すべきか」考える負担が減り、勉強の迷いがなくなる
・独学:テキストを読む → どこが重要か自分で判断 → 問題集を探す… という「選択の負担」が大きい
・スタディング:講義→演習→AI復習までひとつの流れで完結するので、「今日は何をやればいいか」が明確になります。
6-2|ミクロ経済学が苦手な人ほどスタディング向きな理由
ミクロ経済学に苦手意識がある人ほど、スタディングの「図解+スキマ学習」のメリットを受けやすいです。
- 大学で経済学をとっていない/専門科目はゼロから始める
- 参考書だけでは、グラフや数式のイメージがわきにくい
- 仕事や学業と両立しながら、スキマ時間で効率よく学びたい
- 「何から手をつければいいか分からない」と手が止まってしまっている
逆に、「すでに大学でミクロ経済学を履修していて、過去問を解きまくるだけでOK」というレベルの人は、 スタディングは復習用・苦手分野の補強用として使うのがおすすめです。
6-3|まずはミクロ経済+主要科目を一通りチェックしてみよう
スタディング公務員講座では、ミクロ経済学だけでなく、マクロ経済学・数的処理・法律系科目まで一括で学べます。
「ミクロ経済だけ別枠で勉強する」のではなく、公務員試験全体のカリキュラムの中でバランスよく進められるのも大きなメリットです。
① 講義:ミクロ経済の全体像と主要テーマを一通り視聴
② 演習:講義に対応した確認テスト・過去問で「出題パターン」を体に覚えさせる
③ AI復習:間違えた問題・忘れやすいテーマを自動で反復
④ 他の専門科目(マクロ・数的処理など)にも学習範囲を広げる
「ミクロ経済学を最短で得点源にしたい」「独学だけでは不安…」という方は、
一度スタディングの公式ページで講座の内容・サンプル講義をチェックしてみてください。
第7章|ミクロ経済学の総まとめ(重要ポイントの再確認)
ここでは、第1章〜第6章までの内容をまとめて、ミクロ経済学を最短で攻略するための重要ポイントをもう一度整理していきます。
公務員試験では、ミクロ経済学は「最重要級の得点源」となる科目です。今回のまとめを学習の指針として活用してください。
ミクロ経済学は、次の5つのテーマが土台となります。
- 需要と供給(均衡の考え方)
- 弾力性(反応の大きさ)
- 消費者行動(効用最大化)
- 生産者行動(利潤最大化)
- 市場構造(完全競争・独占・寡占)
これらがどうつながっているかを理解すると、個別テーマの暗記だけではなく“考え方”まで身につきます。
公務員試験で何度も出題されるのは、次の5テーマです。
- 需要と供給のシフト(均衡価格・均衡量)
- 価格弾力性(売上との関係)
- 無差別曲線と予算制約線(効用最大化)
- 費用曲線(MC・AVC・ACの位置関係)
- 市場構造の比較(独占→死荷重など)
図とセットで覚えることで、文章問題にも対応できる応用力がつきます。
受験生がよくハマるミスは、次の3つでした。
- グラフの丸暗記 → 意味理解が不足
- 弾力性の公式だけ暗記 → 内容が曖昧
- 無差別曲線の本質がイメージできない
NG→OK比較によって、「なぜ間違いやすいか?」が把握でき、復習効率が大きく上がります。
スタディング公務員講座は、ミクロ経済学の理解に欠かせない 講義 → 演習 → AI復習の流れを整えてくれる教材です。
- 図解が多く、難しい概念をイメージで理解しやすい
- 講義と問題演習がリンクしているので成長が早い
- AI復習機能で弱点を自動フォロー
特に、時間が限られる大学生・社会人受験者にとっては、短期間で点を伸ばす強力な味方になります。
・ミクロ経済学は「全体像 → 頻出テーマ → 事例 → 復習」の流れで学ぶと伸びやすい
・グラフや計算は暗記ではなく、“意味理解”を中心に行う
・スタディングを活用して、効率よく専門科目を得点源にする
→ この流れを維持すれば、ミクロ経済学は必ず安定して得点できる科目になります。
次の第8章では、学習を深めるために読んでおきたい関連リンク(内部リンク)をカード形式で紹介します。
第8章|ミクロ経済学と合わせて読みたい関連記事
ミクロ経済学の理解をさらに深めたい方、公務員試験全体の対策を効率よく進めたい方に向けて、当サイト内のおすすめ記事をまとめました。 どれも専門科目の得点力アップに直結する内容なので、ぜひ学習の流れでチェックしてみてください。
公務員試験は範囲が広く、専門科目の攻略には時間がかかります。
しかし、今回の記事の内容を意識して「全体像→頻出テーマ→演習→復習」の流れで進めれば、ミクロ経済学は確実に得点源になります。
引き続き効率的に学習を進めていきましょう!


